福島県では
「桃」
の放射性セシウム検査を、
昨年(平成24年度)は、
218点
(地域:県内全域)
(期間:平成24年5月~9月)
行ない、うち、
52点(全体の24%)
から、
2.45~31.01Bq/kg
の検出の報告がありました。
参照:
http://www.new-fukushima.jp/monitoring/数値の内訳をみると、
0~10Bq/kg 43点(83%)
10~20Bq/kg 7点(13%)
20~40Bq/kg 2点(4%)
となっています。
検出下限値以下の「桃」は、
166点(76%)
で、検出下限値は、
<Ge5.3~16.7Bq/kg以下
でした。
(※うち、96%が<Ge10Bq/kg以下)
地域別のデーターをみると、
中通り地方 192点
会津地方 22点
浜通り地方 4点
の検査が行われており、
会津地方と浜通り地方の桃は、全て検出下限値以下でした。
比較参考までに、市民放射能測定所で、
昨年度行われた「桃」の検査結果を見てみると、
市民放射能測定所では、昨年(平成24年度)、
13点
(中通り地方)
の、「桃」の検査が行なわれ、うち
11点より、
5.67~18.57Bq/kg
の検出の報告がありました。
数値の内訳をみると、
0~10Bq/kg 6点(60%)
10~20Bq/kg 4点(40%)
20~40Bq/kg 0点(0%)
となっています。
福島県の検査結果と、市民放射能測定所の結果を比較してみると、
放射性セシウムの検出頻度は、
福島県 24%
市民放射能測定所 85%
と、市民放射能測定所の検出頻度の方が高くなっています。
また、20Bq/kg以上の検出頻度は、
福島県 4%
市民放射能測定所 0%
と、ほぼ同じ値になっています。
参照:
http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodcat/food_fruits.htmlさて、次に、こうした結果を受けて、
福島県の今年度の「桃」の検査計画がどうなったのかを
見てゆきたいと思います。
昨年度まで「桃」は、、
「収穫前」
の検査と、
「出荷前」
の放射性セシウムの検査が行われていました。
しかし、今年度(平成25年度)は、
「収穫前」検査は行なわれないことになり、
「出荷前」検査のみ行なうこととなりました。
その理由は少し複雑ですが、
食材の放射性物質のモニタリング計画が、
どのような考えのもとに策定されているかがわかりますので、
少し説明させて下さい。
福島県では、昨年度(平成24年度)、
果実の「収穫前」
の検査対象を。
「前年の検査で100Bq/kg超が検出された品目」
としていました。
今年度は、その基準をより厳格化し、
「前年の検査で
50Bq/kg超
が検出された品目」
と、基準を厳しくしました。
その「50Bq/kg超」という基準をもとに、
今年度(平成25年度)の「収穫前」のモニタリング計画を立てたために、
昨年度、全ての検体で50 Bq/kgを下回った「桃」は、
今年度は、「収穫前」の検査対象から外されることとなりました。
ただし、全く「桃」の検査が行われなくなる訳ではなく、
「出荷前」
の検査は、引き続き行なわれます。
今回、「収穫前」の放射性セシウム検査の対象外となったのは、「桃」だけでなく、
本県主力産品の、「ブドウ」が外れたほか、
チンゲンサイ、
カブ、
ハタケワサビ、
ハワサビ、
ラッキョウ、
オヤマボクチ、
ビワ、
イチジク、
ザクロ、
カリン、
ポポー
が「収穫前検査」の対象外となりました。
一方で、基準が50Bq/kg超と厳格化された事で、
昨年度は対象外だった、
ホウレンソウ、
コマツナなどの
13品目が、
新たに「収穫前検査」の対象品目に
加えられることとなりました。
また会津地方の野菜・果実に関しては、
昨年4月~11月の出荷前検査で、
会津産の
野菜1049点(98.7%)
果実は240点(93.8%)が
検出限界値未満
だったことから、
今年度は会津地方の野菜・果実に関しては、
「収穫前検査」は取りやめ、
「出荷前検査」のみとすることとなりました。
こうしたモニタリング計画の変更は、
「野菜・果実」だけでなく、
水産物や山菜など、様々な食材で、行われており、
具体的な測定点数は、(昨年度と比べ)以下のように増減します。
平成25年度の4月~6月の測定計画
(昨年度に比べ)
野菜類は
1090点マイナス
(2900点(昨年度)
→1810点(今年度))
果実類は
25点プラス
(275点(昨年度)
→300点(今年度))
原乳類は
26点マイナス
(130点(昨年度)
→104点(今年度))
肉類は
116点マイナス
(2320点(昨年度)
→2204点(今年度))
鶏卵は
54点マイナス
(90点(昨年度)
→36点(今年度))
はちみつは
48点プラス
(0点(昨年度)
→48点(今年度))
飼料作物は
800点プラス
(600点(昨年度)
→1400点(今年度))
きのこ・山菜類
1740点プラス
(600点(昨年度)
→2340点(今年度))
水産物
900点プラス
(1440点(昨年度)
→2340点(今年度))
となっています。
今回福島県が、「収穫前」の検査対象を、
「前年度100 Bq/kg超」から
「前年度50 Bq/kg超」に基準を引き上げ、
厳格化したことは(一定程度)評価できると思いますが、
福島県の主力産品である「桃」は、
残念なことに「収穫前」の検査対象から外れてしまいました。
一市民として思うのは、
まだ3.11の事故から
770日
しか、経っていないのですから、
50~100Bq/kg以下だったから安全だと、
「桃」の検体数を減らすのではなく、
むしろ検体数を増やし、
市民に「判断する材料」を、与え続ける。
そうした、情報公開の姿勢をとることこそ、
(不安を感じている市民にとって)
何より重要になるのではないかと思います。
もし(「収穫前」の検査対象基準を)
「前年度25 Bq/kg超」に引き上げていれば、
「桃」が「収穫前」の検査対象からはずれることはありませんでした。
福島県には、より、市民の感覚に立った、
基準作りをお願いしたいと思います。
また、一般市民から沢山の要望の声が上がっている、
ストロンチウムやプルトニウムなど、
他の核種の検査も行なってほしいと思います。
※過去のダイジェストが見たい方は、こちらへ…
「フクシマンの福島リポート」
http://ameblo.jp/masa219koro/(アメブロにアドレスから入れない方は、タイトル検索してみて下さい)
(郡山市 池田雅之)
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