以下のメールが来ましたので、掲載いたします。九州福岡九電前テントの方々のサウンドデモと呼ばれる裁判の顛末です。まずは、
福岡サウンドデモ裁判のブログを開けてみてください。元気な面々の写真が載っていて嬉しいです。
http://demosaiban.blog.fc2.com/・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本年もどうぞよろしく。
1月7日、「サウンドデモ裁判」の判決が出ました。勝訴!九電前テントのメールなどでも報告されるでしょうが、ちょっと長くなるけど私の感想お送りします。
「サウンドデモ裁判」は、2011年5月8日に福岡で初めて大々的〈800人参加)に行われた脱原発デモで、サウンドカーの申請をちゃんと行っていたにもかかわらず、出発直前になってDJを荷台に乗せて走らせてはならないと、警察からとめられてしまったという事件が発端です。申請時に窓口業務の警官に指示されて描き、添付書類として提出したトラックの荷台説明図があるはずだ、その時OKをもらっていると主張したのに、そんなものはないと突っぱねられてしまいました。
福岡で初めてのサウンドデモで、生まれて初めてデモをするので張り切っていた若い人たちは、終わったあとにも、どうにも悔しくてし方なく、あの時の添付書類があったでしょ、と後で訴えにいったら、「捨てた」といわれて唖然とします。警察の横暴をみせつけられて憤然とし、福岡県中央警察署からデモを妨害された、とこちらから売ってでた国賠訴訟です。弁護士に打診しましたが、逮捕者がでたわけでもないし、そんな些細なことで国相手に裁判したって勝ち目は無いし、第一裁判ってお金も時間もかかるんですよ、と諭されて、それなら弁護士なしの本人訴訟で手弁当でとことん戦ってやる!と、言論、表現の自由を守るべく、まったくど素人の十数名が動き始めて… なんだか無知なるが故の怖いもの知らず、みたいな成り行きです。
中心人物は私たちのデモ集会のチラシを一貫して描き続けてくれているイラストレーターのいのうえしんぢさん。これで負けて、変な判決がでたりしたら、かえって脱原発運動に水を差しかねない、と懸念する声もあったのですが。私は、これまで政治にあまり関心を持たなかった若い人たちが、司法の壁に立ち向かうのは素敵と、感動し、4年間17回ずっと傍聴し応援続けてきました。
原告の意見陳述読み上げや準備書面、およそ、弁護士さんがついていたら、とてもこんな文面にはならないだろうというような、自分たちの気持ちを素直につづった切々とした文章は、異色で初々しく、こんな点がのっけから裁判長のハートをとらえたのかもしれません。証人尋問でいきなり大きなパネルを掲げたりしてもクレームもつかず、専門用語にきょとんとしたら、やさしく言い変えてくれたり、わざわざ席を立ち、壇上から証人のところまで降りてきて教えてくれるなど、裁判傍聴歴30数年の私にも、これまで目にしたことのないシーンが印象的でした。憲法学の横田耕一九大名誉教授に意見書を書いてもらったり、本人訴訟で勝った経験のある仲間をひきいれたり、裁判経験の長い労組の人たちがサポートしてくれたりはしましたが、基本的にど素人が書類つくるだけでも、たいへんな苦労があったと思います。
で、判決言い渡し当日。裁判所に入る時ちょっとしたハプニングがありました。今年から荷物検査があるということで、飛行機に乗り込む時みたいなものものしい検査、ボディチェック。傍聴人はみな犯罪人扱いといわんばかり。日本全国こうなったの?これってテロ対策?すごい税金かかってるだろうな。
ほぼ満員の大法廷での判決。いくつかの訴えは却下でしたが、デモ申請者の福岡地区合同労組に(請求満額の)1万円の損害賠償が認められました。
判決要旨「交通課窓口の警察官の誤教示及び同人による文書の破棄が、サウンドデモを行うための期待権を侵害したとの限度で理由がある。いかなる態様でのデモ行進を行うかは、それが社会通念上相当性を欠く態様のものでない限り、表現の自由の範疇に属するものとして法的な保護をに値するというべきであるから、たとえデモ行進の実施自体が妨げられたわけではないとしても、上記のような期待権の侵害により、無形の損害が生じているというべきである」 「期待権の侵害」って、これまであった言葉なんでしょうか? とにかく大飯原発差止判決文の中の「人格権」とか「国富」みたいに、胸にガ~ンとくる言葉です。福岡初のサウンドデモを成功させようと、あんなに一生懸命準備して、期待で一杯だったのに~、っていう悔しさのにじむ人間性あふれる意見陳述が、裁判長からこんな判決文をひきだしたのだと思います。
しんぢさんは、よく新聞に写真が載っている、弁護士さんたちが判決結果を書いた紙を手に裁判所から駈け出してくるあのポーズをシミュレーションして、結果を書いた紙二枚用意していました。「勝訴」はありえないだろうから、でも念のため、文字だけ。敗訴になった場合、それでも負けてない、裁判やるだけのことはあったんだ、みたいな絵入りの立派な敗訴用の用紙を用意して。それが勝訴ですから。国側は控訴してくるでしょうから、まだ先の事はわかりませんが、とにかく、暗いニュースの多い昨今、福岡から、元気の出るニュースお届けしました。
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