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・掲載記事・・・
①甲状腺検査、「過剰」あたらぬ記事全文細井 義夫・東北大学教授
―東京電力福島第一原発事故による被爆の影響をみる県の甲状腺検査で、必ずしも治療の必要のないがんまで見つかる「過剰診断」が起きている恐れがある、という批判が出ている。
放射線治療医として過剰診断という批判には違和感を持つ。どうしてもっと早く見つけられなかったのかと残念に思う手遅れのがん患者はいまだにいる。患者一人の命を救うために、10人が結果的には必要なかった針を刺す検査を受けることになったとしても、仕方無い側面があると思う。
今の医学では、ある患者の甲状腺がんが、治療しなくても寿命に影響しないかどうかは分からない。だとしたら、早く見つけて治療した方がいい。
―公費で実施するがん検診は子どもを対象にしておらず、甲状腺がんも含まれていない。検診の不利益が利益より大きいからではないのか?
公費で実施する場合、費用対効果といった医療以外の要素についても考慮が必要だ。県内の場合は原発事故による被爆のリスクがあるので、費用対効果とは関係なく実施するべきだ。
―県の甲状腺検査は今のまま続ければいいと考えるか?
改善するべき点が少なくとも2点あると考える。1点目は、被爆の影響がきちんとわかるようにすること。2点目としてっは、対象年齢を拡大するべきだ。
―現行の枠組みは、甲状腺がんが大きくなるにはある程度、時間がかかることから、事故後2年半で実施した1巡目の調査結果は事故前の状態とみなし、2巡目以降の結果と比較することで被爆の影響をみる計画だ。これでは不十分か?
被爆の影響をみるなら、被爆と甲状腺がんの発生状況の相関関係を調べるのがもっとも基本的な調査方法だ。県民の甲状腺局所の被ばく線量をもっと精密に調べる必要がある。そのためには、広島や長崎被爆者に対して実施したような、事故直後の行動についての聞き取り調査も実施するべきだ。
また、放射性ヨウ素よりもっと半減期が短い放射性物質テルルなどによる「甲状腺への被爆についても考慮が必要だ。
―」県の甲状腺検査は原発事故当時18歳以下だった県民を対象に始まり、今年度から事故当時、胎児だった県民も加わった。さらに対象の拡大が必要か?
被爆時の年齢が若いほど影響を受けやすいのは確かだが、18歳以上の人が影響を受けないわけではない。チェルノブイリでも、甲状腺がんの増加は用事で顕著だが、成人でも一定程度は増えている。したがって、福島県でも事故当時19歳以上の県民についても、調べるべきだ。
―何歳までを対象にするべきなのか?対象をふやせば、それだけ検査に必要な医療従事者や超音波検査機器、費用が増える。
70歳以上の県民までとは思わないが、何歳で線引きするのかは難しい。理想的には40歳以上も対象にするべきだと考えるが、どれだけの医療従事者や費用を甲状腺検査に投入できうrのか、という現実的な問題もある。政治的な判断が必要だろう。
―被爆との因果関係を調べることについては、県民の間から「われわれはモルモットではない」という批判の声もある。
同じような批判は広島や長崎の原爆被爆者からも出た。しかし、半世紀以上続いた被爆者の調査により、どれだけ被爆すると健康影響が明らかに生じるのかなどが科学的に解明された。調査の過程でがんなどの疾患が早く見つかり、救われた命がたくさんあった。
福島県民には、科学的な調査が人類に与える恩恵についてもぜひ理解して欲しい。
原爆被爆者の調査は米国政府が始めた。福島の場合、日本政府に低線量被爆の健康影響を解明する国際的な責任があると思う。 (聞き手・大岩ゆり)
②のれんかけ直し、気力充実 記事全文 福島第一原発から約21キロ。田村市都路地区の店舗兼自宅に9月から戻り、地区唯一の中華料理店≪泰平食堂≫を再開した。
「なんの変哲もない味。だけどこのラーメンが食べられるなんて」。約3年半ぶりの復活を、住民も歓迎している。
開業は1980年。両親の養蚕業が振るわなくなり、一時アルバイトをしていた東京の中華料理店にのれん分けしてもらった。みそラーメンやニラレバ炒めが定番。住民だけでなく、原発に通う東京電力の社員でもにぎわった。
だが原発事故で避難を強いられ、閉店。厨房は荒れてカビだらけになり「もう私の仕事はないんだな」と涙が出た。娘宅や市内の仮設住宅を転々とし、周りが自宅に戻り始めても、帰る気力がわかなかった。
背中を押したのは、夏に保健所からきた連絡だった。「継続のため、店の定期検査をしますか?それとも廃業にしますか?」。この「廃業」という言葉に「びっくりして目が覚めた」。いま腰をあげなければ、一生再開できない。1カ月で店を改修し、再びのれんをかけた。
店には家屋の改修業者も訪れるようになり、売り上げは震災前を少し上回る。いつまで続くか不安だが「何をしても面白くなかった再開前とは違う」と、日々の仕事を楽しむ。「震災前より気力が増したくらい。10年はがんばりたい」 (高橋 尚之)
③みつばちの目 記事全文 76万4332人。
14日投開票された衆院選で、投票に行かなかった県内の有権者の数だ。
福島市を抱える福島1区と、郡山市のある福島2区の合計よりも多くの有権者が投票所に背を向けた。
投票率52,51%は戦後最低。全国(52,66%)や、無党派層が多い東京(54,36%)を下回ったことには驚かされた。
低投票率の理由は何か。
内堀雅雄知事は「行政に対する信頼という課題が根底にある」と話し、「国と連携して福島を元気にする施策を打ち出す必要がある」という。
「だれがなっても私たちの生活は変わらない」と福島の人が思っているのなら、事態はかなり深刻だ。
有権者が「託したい」と思う政策を打ち出せなかったのは政党や候補者だ。ただ、選挙を報じてきた私たちにも、「もっとできることがあったのではないか」。選挙が終わるのを待っていたかのように降り出した雪を見ながら、そんな思いに駆られている。(高田 寛)
以上、誤字脱字があった場合は私の書き間違いです。ゴメンナサイ。それにしても記事を読みながら書くのって大変ですね。何かもっとイイ方法があるのでしょうが、PC音痴でこれ以上出来ませんでした。
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