5月6日です。
福島の新聞に掲載された記事について疑問を呈した方の文章を転載します。
この方のように一つ一つ丁寧に新聞の記事を説明していただく事、大事ですね。
「またこんな書き方をして!」という心の中のリアクションで終わっている私に
気付きました。Sさん、ありがとうございます、本当にそうですよね。
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2014.5.1の福島民報19面には、
「内部被ばく検査3月分 5044人一ミリシーベルト未満 健康に影響なし」という
見出しで、福島県内33市町村を対象にしたホールボディーカウンターの測定結果を
載せています。
対象市町村は福島市の606人をはじめ、会津坂下町の25人など、県内各方部に
渡っています。
県が測定の対象にした方はどんな方なのかわからないのですが、
「成人で今後50年、子どもで70才までの内部被ばく累積線量を示す預託実行線量は
全員が一ミリシーベルト未満だった。県は『全員、健康に影響が及ぶ数値ではない』
としている。」と書かれています。
私は県のコメントも、福島民報の見出しの書き方も、預託実行線量で表すやり方も、
知識の無い方が読んだらかなり誤解してしまう、たいへんな問題だと思っています。
どのように誤解する危険性があるかと言うと、大きく二つ。
①内部被ばくで一ミリシーベルト未満であれば心配ないのだと受け取りかねない
表現。→国際基準も、ベラルーシの基準も、
「内部被ばくと外部被ばく合わせて年間一ミリシーベルト」が基準。
外部被ばくで年間一ミリシーベルトを超す場合は、内部被ばくはゼロミリシーベルト
でなくてはならないのに、さも、内部被ばくで一ミリシーベルト未満であれば安心で
あるかのように思わせています。(内部被ばくで一ミリシーベルトというのは、
何万ベクレルにも相当する、健康被害が出ることが予想される、とんでもない数値。
それをIAEAは2001年時点では認めていないようです。今は?)
「福島県民が被ばくを過小評価するよう、福島県が仕向けている」ととられても
反論できない表現。
②今後50年、子どもで70才までの内部被ばく累積線量を示す預託実行線量で
表す方法により、県民に「ホールボディーカウンターは一度受ければほぼ一生に
受ける線量がわかるので、一回受ければ良い」という誤った認識を与えかねない。
→ホールボディーカウンターの数値は、その時点でのセシウム他のガンマ線の量
しか測定できません。
だから、測定の後に放射線量の高い物を食べたり、飲んだり、吸い込んだりすれば、
毎回数値が変わるのです。一生を表す数値ではないのです。
預託実行線量を大人で50年、子どもで70年としているのは、ストロンチウムや
プルトニウムなど、体に取り込まれるとほぼ一生排出されない放射性物質からでる
放射線量を加味しているからだそうです.
(福島市での原子力学会の中の対話集会での専門家の先生のお話から。)
その、ストロンチウムやプルトニウムの取り込み量は、実測値ではなく、
予測値なので、当てにはならないと考えます。(例えば、ストロンチウムを多く
含む物を沢山食べた人と、食べなかった人で考えると、ストロンチウムから出る
ベータ線はホールボディーカウンターでは検出されないので、預託実行線量は
実測値ではないので、本当は違うのに、同じ数値になることも…。
ホールボディーの数値が同じでも、健康状態は全く異なるでしょう。)
ホールボディーカウンターのベクレル数を預託実行線量のミリシーベルトで
表すのは、さも問題が無いように見せかける仕掛けそのものだと感じます。
すっかり、一ミリシーベルト未満だと問題が無いように、福島県民が騙されて
しまう可能性があると感じます。
県民がそれで「安心」できるなら、「差別」が起きないのなら、「風評」が
起きないのなら、それでも良いのではないかーというお考えの方も
いらっしゃるかもしれません。
確かに市販の物しか食べない方ならそれほど被害は出ないかもしれません。
しかし、自給自足に近い農家の方が大丈夫だと思い込み、農家のお嫁さんも
大丈夫だと思い込み、一度測って安心し、それこそ消費者庁がふれこんでいる
ように、100ベクレルが十分に低い値だと思って子どもにも安心して
食べさせていたら…。
責任は誰が取るのでしょう?
医療費が無料なのは18才までと聞いています。
10才の子が20才で発症したら、子ども被災者支援法では大人の医療費の支援は
見送られたそうなので、無料ではなくなります。
現金収入の少ない農家の方は、医療費が払えるのでしょうか?
国民健康保険の掛け金は払えるのでしょうか?
市町村の国保への支出が、ある年から急に増え出す可能性もなきにしもあらず
です。発症した方とご家族は(原発の影響ではありません、と、キッパリ言われ、)
泣き寝入りになるのではないでしょうか?
福島県民は、よく勉強して、かしこい用心をすべきだと思いますし、今のところ
ベクレルで公表する気のない福島県と福島市に対し、県民に誤解を与えないような
表現に変えるよう、しっかりアプローチすべきだと思います。
例えば、ホールボディーカウンターの数値は生活によって変わるので、
定期的に測って用心しましょう等。
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