こうした、「病気の増減を調査することの重要性」について、
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんが、とても分かりやすい説明を
してくれていました。
日本全国で「ダウン症」が増加している可能性があるという話もしていたので、
その部分を、書き起こしてみました。よかったら読んでみてください。
「朝まで生テレビ 激論!福島再興と原発再稼働(平成26年2月28日)書き起こし」飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)放射線被曝の話でいうとですね、行政プラス、学者というか専門家の問題が一つあって、
低線量被ばくっていうのは両論というか、不確実性がある訳ですね。
100ミリシーベルトでも(健康には)大した影響がないという人もいれば、
そうではなくて、色んな影響が出ているという、色んなデーターがあるわけで、
それに対して今の福島県立医科大とかはですね、ベースとなるデーターをきちんととる
姿勢が全く無くて、例えばチェルノブイリとかですと、チェルノブイリティッシュバンクと
言って、そこから出てきた、甲状腺ガンとか、いろんなガン組織をきちんと集めて、
それを世界中の研究所で研究してもらうということをやって、
それなりの結果が出ているわけですよ。
それが・・・・
先週開かれた、OECDという原発推進ムンムンの所が環境省と組んで、
「甲状腺ガン国際ワークショップ」という会議をやってですね、日本人の出席者は、
放射線安全学者ばっかりだったんで、「影響はない」って言っていたんですが、
ドイツとか海外の研究者は決してそうではなかった(安全とは言わなかった)。
それでその中で面白い議論があったのは、海外の研究者が言っているのは、
福島でも実際70数名の子どもたちに出ているわけですよね、
甲状腺ガン、もしくはその疑いがある方たちが…。
ならばそれに対する、データバンク、組織バンクをきちっと作って、
それを世界中に開いて研究しましょうという姿勢を持ってはどうかと
海外の研究者が提案したら、
山下俊一さん(福島医大副学長)は強くそれを否定したわけですよ。
田原総一郎 何で否定したの!(怒)
飯田科学の姿勢としては本来それはやらなければいけないはずですよね
(なのにやろうとしない・・・・)
あるいはですね、チェルノブイリの後にダウン症がすごく増えた訳ですよ。
でも日本では全くその調査はされていないんですね。
田原 ソ連やウクライナで(ダウン症が)増えた訳ね。
飯田様々な遺伝子異常が出てくることははっきりしているんですね。
でも日本ではその調査はされていないんですが、
NIPT調査という、新型出産前調査という検査が今たまたまテストをされていて、
3500人が、
これは福島だけではなくて日本全体で検査を受けたら、65名の「異常」があったと。
その半分がダウン症なんですけれど、
そうすると(確率は)千人に1人なんですね。
でも、ダウン症というのは、日本も含めて世界はだいたい一万人に1人なんですよ。
これも、きちんと3.11の前と後とか、福島県と他の地域の違いとか、きちんとデーターが
取れていないからよくわからないんですけれども、
しかし、ダウン症が増えている可能性があることを示すデーターが、別のアングルから
出てきてしまったわけですよ。
(それなのに)ダウン症の統計的なデーターを取ろうとしていなくてですね、
低線量被ばくでどのような影響があるか?
これだけ学問的に両論あるのだったら、ベースデーターをきちんととるのが、
本来の、21世紀の科学の姿と思うんですけれど?
清水修二(福島大学副学長)すると、日本全国に事故の影響が及んでいる可能性があると・・・?
飯田いや、そういうことを言っているのではなくて、普通一万人に1人が、千人に一人と
でているのならば、これはちゃんとした疫学調査をしないと、ハッキリしたことは
言えないわけですよ。
(書き起こし終わり)
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ちなみに、飯田さんの話に合った、「甲状腺がん国際ワークショップ」が開催された翌日、
福島の新聞紙面には、~甲状腺ガン 原発事故影響「考えにくい」~
という大きな見出し記事が躍りました。
(平成26年2月24日付)
記事には、国際ワークショップで、
福島県で33人に甲状腺がんが見つかっていることについて、
・「原発事故による被曝の影響で甲状腺がんが増えていることは考えにくい」
とする結論を発表した。
・甲状腺がんが多く見つかっている理由は、これまで実施していなかった集団検査を
行っているためだろう。
ということだけが書かれており、
山下俊一副学長が、組織バンクを作ることを拒否したことについて
はまったく報じられておらず、記事からは、国際ワークショップの問題点を検証する姿勢は、
全く感じられませんでした。
(②に続く・・・)
(①からの続き・・・)原発推進を旗印に掲げるOECDという国際組織が、環境省と組んで開催した、
「甲状腺ガン国際ワークショップ」
については、
福島民友新聞が平成26年3月2日の記事で、
安全か危険か?科学的知見は得られていないというスタンスで、
優れた記事を書いてくれています。
ネットにはアップされていない記事でしたので、書き起こしてみました。
もしよかったら、読んでみてください。
原発災害 復興の影 身を守る②~検査向上か事故でか? がん増加要因特定に壁~「福島で甲状腺がんが多く見つかっているのは『スクリーニング効果』のためだろう」。
都内で2月に開かれた甲状腺がんと放射線に関する国際集会。
原発事故当時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査で、
33人が甲状腺がんとされたことに、各国の専門家からそんな指摘が相次いだ。
スクリーニング効果は、精度の高い集団検査を行っているために、
それまで見つからなかったがんが見つかる現象。
集会では、チェルノブイリ原発事故と比べて甲状腺がんが見つかる時期が早過ぎることなど
も指摘され、「放射線の影響でがんが増えているとは考えにくい」と議論をまとめた。
福島医大副学長(非常勤)の山下俊一(61)は「専門家間で共通認識を得た」と
集会を締めくくった。
だが、本県で独自に被ぱく評価に取り組む京大原子炉実験所助教の今中哲二(63)は
結論を急ぐことを疑問視する。
チェルノブイリ原発事故で子どもの甲状腺がんが増え始めたとされる1990年代初頭、
権威ある専門家らは「広島、長崎の被爆者と比べて放射線の影響が出るのが早過ぎる。
増加はスクリーニング効果のため」と、放射線との因果関係を否定したという。
「今、『チェルノブイリと比べて早過ぎる。スクリーニング効果だ』と言うのは、
同じ構図でおかしい」
今中は続ける。
「汚染された牛乳などが制限されなかった当時より、福島の方が被ばくが少ないのは
疑いない。だが、がん増加がスクリーニング効果か、放射線の影響かを区別するのは
困難で、分かるのは後のことだ」。
2月の国際集会でも
「がんの要因の見極めは将来難航する」という意見が上がった。
この問題が長く因果関係解明を妨げる壁になるという指摘は多い。
福島市に避難した浪江町の●●(67)は
「県民健康管理調査は(放射線の影響はないという)結論ありき。
行政は事故の影響を小さく見せたいのでは」と話し、疑念が拭えない。
最近、中学2年の孫が甲状腺こりがあると診断された。
予断を排した調査を強く望む。
「放射線影響の解明こそが調査の目的であるべきだ」
(記事紹介終わり)
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福島に生きる私の、切実な願いは、
実際に病気が増えているのか?ということを、
(甲状腺がんだけでなく、
他のガンやダウン症や心筋梗塞や白血病やあらゆる病気に関して)
まずは、きちんと調べてほしいということです。
そして、もし特定の病気が増えているのであれば、「治療」と「予防」に、
国は責任を持って取り組んでほしいと思っています。
もちろん、「放射線影響の解明」もとても重要だと思いますが、
記事にもあるとおり、残念ながらこれは、今すぐに答えが出せる問題ではありません。
それなのに、結論ありきとしか思えないような国際ワークショップが盛んに開かれ、
新聞やテレビからは、「放射能の影響は考えられない」というキーワードが垂れ流され、
肝心の、「病気の増減についての調査」を、国は一向に行なってくれない・・・
これでは、多くの県民が、県民健康管理調査に不信感を持ってしまうと思います。
福岡で、小児科医を営む三ツ井弘一先生も、「国や自治体が主導して、がんや心臓病など
重大な病気が、増加してないかについて、患者数のデータをまとめる必要がある」
と、提言してくれています。
ちなみに、人口動態調査の死亡原因から、病気の増減を調べてみると、
福島県では原発事故以降「急性心筋梗塞」による死亡者が増加していました。
(一方で全国の「合計人数」は、減少しています。)
※急性心筋梗塞で亡くなった人の数(福島県)
1287人 → 1591人
(平成20年)(平成24年)
※急性心筋梗塞で亡くなった人の数(全国)
43580人 → 42107人
(平成20年)(平成24年)
ただし、「青森県」「山形県」「埼玉県」「富山県」「岐阜県」「鳥取県」「岡山県」
「高知県」でも増加しており、増加しているのは福島県だけではありませんでした。
参照:
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/OtherList.do?bid=000001041646&cycode=7(年度を選び、
「死亡数、性・死因(死因簡単分類)・都道府県(18大都市再掲)別」を選択する。)
また、「肝疾患」や「肝硬変」でも増加がみられていますが、
こちらも、福島県以外の都道府県でも増加している県があり、
人口動態調査から、何か特徴的なことをつかむことは、できませんでした。
※肝疾患で亡くなった人の数(福島県)
239人 → 265人
(平成20年) (平成24年)
※肝硬変で亡くなった人の数(福島県)
129人 → 151人
(平成20年) (平成24年)
やはり、一番有効な調査は、人口動態調査ではなく、
今、実際に罹患している人の数を調べる、「患者調査」ではないかと思います。
国にはぜひ、
「病気の増減についての調査(患者調査)」
を、きちんとした形で、毎年行ってほしいと思います。
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(福島県郡山市 フクシマン・マサ)
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