「劣悪な環境で高齢者は何とか生き抜いている」と
浪江町から悲痛な声が上がっているそうです。
福島県では、
寝たきりや認知症といった「要介護状態」になるお年寄りの数が急増しており、
共同通信の各自治体のアンケートで、各自治体が深刻な状況を訴えています。
「(仮設住宅について)介護用ベッドが夫婦で必要だが、部屋が狭く一台しか置けない」
(南相馬市)
「震災前は庭の手入れや畑仕事をしていたが、仮設生活で閉じこもりがちになり、
介護レベルの重度化がみられている。」(広野町)
「先行きの不安などメンタル面の変調を訴える人も多い」(いわき市)
3.11以降の要介護状態のお年寄りの増加率は、
大熊町62%
双葉町・浪江町・飯館村 50%超
と信じられないぐらいに高く、
福島県全体の増加率も、26%と、
他の被災2県(宮城県・岩手県)とくらべて、かなり高い状態となっています。
要介護状態の増加だけでなく、長期避難で心労を重ね、命を落とす「震災関連死」の
お年寄りの数が、1664人と急増しており、浪江町の言う通り、お年寄りの多くが、
「劣悪な環境で高齢者はギリギリ生き抜いている」という深刻な状況が続いています。
私も、この3年間の間、「故郷に帰りたい」という言葉を残し、お亡くなりになってゆく
お年寄りを、何人も看取らせていただきました。
そして、お葬式に参列させていただくたびに、こんなことを感じました。
何故、お葬式の席に、東電や国の責任者がご焼香をあげに来ないのだろう?
何故、故郷を奪われた人に対して、国や東電は、謝罪し、手厚い支援を行わないのだろう?
せめて、故郷を奪われた人が、
寂しくない様に・・・
辛くない様に・・・
国は、もっと手厚い介護サービスを行なうべきではないか?
しかし、介護サービスは充分ではなく、お年寄りを支える、私たち現場の介護職員も、
職員不足のため悲鳴を上げているという厳しい現実があります。
原発からの距離が近い相双地域の施設では、震災から3年たちようやく施設を再開しても、
職員が集まらず、充分にお年寄りを受け入れられない状況が続いています。
原発からの距離が50キロと、遠く離れている私の働く施設ですら、職員募集をかけても、
求人がほとんど集まりません。こうした状況に対し厚労省は、全国から応援職員を募集して、
相双地域に緊急派遣していますが、職員不足は解消されていません。
また、県外から相双地域の福祉施設に就職を希望する人に20~30万円程度の
「就職準備費用支援」を行うとしていますが、「低賃金」という根本的な問題に
メスを入れない限り、職員不足という問題は解消されない気がします。
福島労働局が県内の「建設」「介護」「看護」の、(求人募集時の)「賃金」の
平均額を調べたところ、
「建設」22万4千円
「看護」21万2千円
「介護」16万8千円
と介護の月額賃金は、全職種を大きく下回りました。
3.11後の賃金の上昇率も、全職種中最低レベルとなっています。
介護は非常にやりがいがある仕事ですので、低賃金の問題が解決すれば、
人は集まると思うのですが、国の定めた介護報酬を踏まえた賃金となってしまうため、
事業所の努力だけで介護報酬を上げるのには限界があります。
「劣悪な環境で何とか生き抜いている」フクシマのお年寄りに、
必要な「支援」を届けるために、
「住環境の改善」
「介護サービスの整備」
「介護職員の処遇改善」など、
国は、もっと根本的な支援策を、検討してもらいたいと思います。
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